【レビュー】Reality Quest's Glove
2005年 05月 31日
そんな言葉が巷を席巻する時代を生き抜いた読者ちゃん諸君、こんばんは。新しもの好きダウナー系、烏丸です。
いやいや気づけば21世紀になったにも関わらず、地震は頻発するわ電車は脱線するわ、自分のことを棚に上げた隣国に自国の歴史を捏造呼ばわりされるわで、まさしく末法の世。烏丸も再度モヒカンにして、愛車に跨り「ヒャーハッハッハ」って笑いながら世紀末救世主伝説を待ちわびる毎日です。
You are Shock! (あなたは、ショックです。)
さておき。
20世紀末と言えば、コンピュータゲームの爆発的な普及に始まり、前述のマルチメディアやらバーチャルリアリティやらに業界全体が右往左往したわけですが、そんなさなかに発売されたコントローラを覚えておいででしょうか。そーです。「パックス・パワーグローブ」であります。
余りにも有名な上に、これについての情報はネットを探せばナンボでも出てくるので簡単に。
パワーグローブは文字通り手袋のように手にはめて使うゲームコントローラ。ファミコンのジョイスティック端子にL字型の受信デバイスを指し込み、それをテレビの上に乗せて使うという、当時ではまだ珍しいバーチャルリアリティを絵に描いたようなコントローラでした。(ここまで書くと受信部とグローブが無線のようですが、残念ながら有線でしたw)
この手袋型コントローラが、「PAXのしわざ」「オマエの手を改造するのだ」という独特なキャッチコピーでCM放映されたのは今から約16年ほど前。日本ではバブルがはじけてしまって、たかがゲームの周辺機器にテレビCMを展開するなどとは考えなくなった時期に、この製品はテレビコマーシャルを連続放映していたのです。
この豪快な営業展開をしていたのは発売元の米PAX社。この製品の革新的なインターフェースに社運を賭けたのか、日本だけでなく米国・欧州と、御自ら海外拠点を設けて世界展開をしたのですが・・・革新的すぎたのか、それともマーケティング不足だったのか販売は不振に終わり、結局は多額の負債を抱えて倒産してしまったわけです。
そもそもプラットフォームが前述の通り、当時世界シェア№1のNES、つまりファミコンだったのですが、ファミコン自体の性能は末期とは言え発売した1984年と変わりは無く、しかもいわゆる”売れ線”から逸脱するようなゲームは国内では忌避されていたのです。その為、このコントローラが活躍することは出来ませんでした。
残念ながらPAX社は倒産してしまいましたが、昨年発売されたプレステ2の「EyeToy」なんかを見ますと、時代を先取りしすぎていたんだなあ、と感慨することしきり、です。
で、ココからが本題。(全然簡単な説明じゃないよ >烏丸)
残念な結果に終わったパワーグローブですが、実は後継者とも言うべき製品が存在するのをご存知でしょうか。一つはこれ※。五本の指を全てアナログコントロールする、PC用の入力デバイスです。恐らくパワーグローブが目指したものに最も近いと思われます。なんと生きていたPAXの遺伝子・・・
じゃあ烏丸、今回のテーマはこれですか。
いやいやいや。
実は今日のお題はこっち!
なんとプレステ用の手首型コントローラ「Glove」であります。「手首型」なんて書いてあります通り、前述のパワーグローブが手袋のように手にはめるのに対して、こちらはコントローラに手を乗せてベルクロ(マジックテープですな)で留めるタイプ。固定箇所は二箇所で、手の甲と手首となっています。
手袋型になっていない理由はココ。
人差し指が触れる部分に○×△□のそれぞれ、親指が触れる場所にL1~2・R1~2が配置されているわけです。パワーグローブが指を曲げることで入力を認識するという、当時としては新しいインターフェースだったのに対し、こちらは実に普通。悪く言えばアナクロ。(アナログじゃないですよ、デジタル入力です)
じゃあ方向キーは? っていいますと、こちらはなんと手首の上下左右の動作に割り当てられています。ちょっとイメージが湧きにくいのですが、右手のひらを地面に対して垂直にした状態で、手首から先を上下に動かすのが「上下」、ビンタのように左右に動かすのが「左右」になるんですな。 入力値のデジタル/アナログの切り替えはスイッチにより可変。つまりはソニー純正のデュアルショック準拠、と。
準拠、なんてーとオリジナルと出来ることが一緒な「ハズ」なわけですが、まあ諸君らの想像の通りこれがまた大変。そもそも手首の動きが上下左右の挙動を担当するとなると、マウスのような平面状に置かれた固定物を動かすというのが一般的。
しかしながらこのコントローラですと、手首を浮かせた状態で、しかも個人の体型により異なるニュートラル位置を基点とした上下左右なワケで。個人差はあるでしょうが、恐らく正確な動きをするには大変苦労するのではないかなァと想像できるんですな。(っていうか烏丸はそうでした)
さーてと、ココまで呼んでくださった読者ちゃん諸君には、もうお分かりかと思うのですが、このコントローラがまた、あらゆるゲームで使いづらいんですな。 烏丸が試しに動作させてみたのが・・・
・蒼弓紅蓮隊~黄武出撃
・ウィザードリィ
・コロニーウォーズ
・ぷよぷよ
・・・とりあえず2D/3Dシューティング、RPGとアクションパズルと試したんですが・・・どれもこんなプレイスタイルに。
取り上げたシューティングは、純正のコントローラでやる分には「普通に」エキサイティングなプレイをさせてくれるのですが、このコントローラでプレイするともー「か、母さ~~ん!」と叫んで散った新米のジオン兵の如く出陣即二階級特進という地獄道。ぷよぷよも、次に落ちてくる「ぷよ」を見るよりも、自分の手首を凝視する時間のほうが長いという始末。連鎖など持ってのほか。
いや、ウィザードリィに関しては冷静になればなんとかゲームになるのですが、それでも盗賊がワザワザ判定してくれた罠とは異なる罠を選択して宝箱爆発、目の前にある落とし穴にすすんで落下、宿屋に泊まればロイヤルスイートを当然のように選択と、有る意味ゲーム性に激変をもたらしてくれました。
壮絶です。
なんかもう、純正コントローラが斜め上進化ってやつでしょうか。いやいや購入前からある程度想像はしていたのですが、ここまで強烈だと烏丸のツボ。っていうか絶好球。これがPAXのように世界展開をしていたら、それはもう第二のPAXショックとなったことでありましょう。
ともあれ、この手の(文字通り"手"ですが)製品は、仮想的に三次元の感覚で操作しようと必死な感じがしますけど、実際にはそれを操作する人間の目がディスプレイに映るものを三次元的に捉えることが出来ないと、どーしてもズレが生じてしまいますねえ。やはりバーチャルリアリティ最盛期の時の、ヘッドマウントディスプレイとセットじゃないと現実味(?)を体感できないんじゃないでしょうか。そこまでやって初めて、バーチャルなリアリティをインタラクティブに体験することが出来るんでしょうねえ・・・って、この用語の使い方、あってるんでしょうかw
さて最後にこの製品、海外での評判はどんなもんだったんでしょうなあ。
デザイン ★★★★★ 英語の古語だと手首って意味らしーですな
操作性 ★☆☆☆☆ 壮絶の一言
備考 バーチャルな入力デバイスって、成功しませんねえ。
参考URL メーカーHPなんですけど・・・影も形も無いなw
※余談。リンク先の「P5 GLOVE」ですが・・・写真でコレをつけている方の腕毛が気になります・・・・・・・