【レビュー】ASCII アスキーパッド ファイティングタイプ2 オリジナル
2005年 09月 30日
何でまた9月の1日が「ファミ通の日」なのかと申しますと、これがまた同誌で「8月32日はファミ通の日!」なんて広告をうったからなんですな。31日に1日足して、9月1日と。(ちなみに当時、同誌で連載していた桜玉吉氏の「しあわせのかたち」でウッド尊師(注1)がアピールしてましたな) かれこれ10年くらい前でしょうか。
さてこの烏丸。ファミ通発売より前から、やはりアスキー系パソコン誌「ログイン」の読者ちゃんだったんです。と言ってもパソコンと言えば自分の中ではMSX。なので掲載されている高級機の記事を読んでは、MSXへの移植を待ち望む夢見がちな美少女。 とは言え、それだけが理由でログインを購入していたわけではなく、当時連載していたヤマログ(あとバカチン市国(注2))がお目当てだったんですな。
このヤマログ、パソコン誌の連載記事とは思えないほどのフザケっぷりで・・・、って話し始めると長くなるので各自ググっていただくとして、とにかくアスキーは昔からバカ要素に満ち溢れていた、と。そしてそれに翻弄されるメガネッ娘こそが、ってまあいいや。
さて、アスキーと言えばファミコン黎明期からゲーム関連のハードを発売していたのをご存知だと思います。有名どころだと「ターボファイル」やら「アスキースティック」。「アスキーグリップ」なんていう意欲的な製品も。 ところがアスキー自体の企業体力が下がっちゃったあたりから、親会社が転々としたり、出版部門を分割子会社化しちゃったり、ゲームソフトの開発から手を引いたり。そーなってきますとコントローラなんて作ってる場合じゃないわけで。
アスキー大好きッ娘である烏丸は、アスキーが文字通り「明日危」な状態だったこの当時、どうなることやらとハラハラしながらヤキモキしていたわけですが、結局、ハードウェア事業からも手を引いてしまったわけです。
というわけで、今回はその末期に発売されたアスキー製のゲームパッド。しかも前回のサタパ記事からの流れで、この製品を大紹介。
ズギャッ
「アスキーパッド ファイティングタイプ2 オリジナル」であります。なんか長い名前ねえ。
この製品、結構な数が出回りましたのでお持ちの読者ちゃんも多いかと思われます。烏丸も前述のアスキーのハードウェア事業撤退後に500円で購入。パッケージを見てお分かりいただけますように、プレステ用なんですな。
さすがにプレステの純正パッドで格闘ゲームをやるとなると、あの分離した方向キーでとりあえずつまづくのは必至。そこに各社は目をつけていろいろな形状な方向キーを実装したパッドを発売してきたんですが、この製品は露骨にサターンパッドを意識。確かにいろいろ試行錯誤して新しい方向キーを設計したところで、実績で数歩先をゆくサタパに並ぶとなると難しい。アスキーの(というか設計者の)決断は正解だったと言えましょう。
んで、実際のところどーなのかと言うと・・・惜しい。これがまた実に惜しい。
周辺の隙間に注目。
だーいたい想像がつくかと思いますがなんかコレ、やたらとストロークがある。方向キーの軸の根っこから、方向キーの表面までの距離がかなり離れている。 そうなりますと1アクションの動作が必然的に大きくなるワケで。これは特に斜め方向への傾きに顕著なのですが、方向キーの表面が周囲の黒い部分と同じ高さまでストロークしちゃう。しかも右上に至っては、方向キーの方が周囲の黒い部分より低くなるまでくぼむという有様。まぁ確かに、方向キーの中心から親指の中心をズラさないように操作すれば問題ないのですが、まれに爪がぶつかったりして不愉快。
そして感触。なんともグンニャリした感じ。こちらは好みの問題って思い込むことも出来るかと思いますが、パッケージどおり格闘ゲーム向けの設計ってことにしても、ストロークの深さとの相乗効果で不快指数上乗せ。
さてと。それでは他のボタン群はどーなのか、といいますと。
まず見た目。ご覧の通り、サタパと違って同じサイズの6ボタンを実装。サタパの上下段で大きさが異なるってのが許せない向きには好印象かしら? いやいやこちらも残念。当然、炭素接点スイッチのスタンダードな部品を使ってはいるのですが、なかのラバーの素材のせいか、妙に押し心地が固い。さらにボタンの周囲にまたもや隙間が開いている。もんだからボタンがガタつくわけで、カチャカチャと安っぽい音がすると来た。(いや、実際に安いんですが)
なーんか格闘ゲーム用をうたう割には作りが甘い。っていうか適当。コスト的なことも多分にあるとは思うんですが、それにしたってこれで格闘ゲームってのはJAROに訴えたくなるってもんです。これ作った人間は格闘ゲームやるのかどーか怪しい。実に怪しい。
敢えて使うとしたら、慎重な弾よけを要求されないシューティングかつゲーム側のコンフィグで連射が設定できるもの、ってところでしょーか。うーん、本末転倒。
LRはUSB版サタパと同じようなメカニカルスイッチなんですけどね。もーちょっと基本的な事を大事にしながら設計してもらいたかったなーって。そこは所詮、模倣品ってことなんでしょうけども。うーん。
デザイン ★★☆☆☆
操作性 ★★☆☆☆
備考 ボタンを減らして「ギルティギア」用として再販したバージョンもありますな。
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実はこれと同じ部品を使ったコントローラで、同社の「シーマイクコントローラ」ってのがあるんですが、こちらも同じ持病を持ち。部品使い回すのはいいんですが、もーちょっと精度のいいものを使い回せばいいのにねえ・・・。 あ、そしたら世の中から腐ったコントローラが減ってしまってオマンマの食い上げ。っていうかこれで食ってるのか>烏丸
注1「ウッド尊師」・・・当時のファミコン通信編集長であらせられた塩崎剛三氏のこと。同誌のポスター広告に「ファミ通でウッドボール(きまり)」という不思議なテイストのキャッチを考案したことから。後にお家騒動だとかで退社。今何やってるのかしら?
注2「バカチン市国」・・・ヤマログ亡き後、ログイン誌で連載されたバカ連載。ヤマログや他のバカ記事と合わせて、同社より「バカ記事大全」が発売された・・・って、当然発売日に即購入しましたよ烏丸は。マジおすすめ。