【レビュー】DAITO Co.Ltd BATTLE STICK 307
2006年 10月 13日
時代小説といえば山田風太郎。烏丸でござ候。
さてさて、時代小説なんて申しますとやはり王道は司馬遼太郎やら池波正太郎、吉川英治あたりが有名どころ。なかでも司馬遼太郎は最近のお気に入り。とは言っても「梟の城」しか読んでないんですが。(中井貴一の映画には失望した・・・)
で、この司馬遼太郎先生。作家以前に文化人としても大変ご高名でして、って、そのあたりはWikiをご覧いただきたいんですけれども・・・ちょっと先生のエッセイかなんかで、どーにもカコイイフレーズがあるんですな。それが
「久闊を叙す」
無論先生による造語なんかではなく、こーいった意味の日本語なんであります。
リンク先をご覧いただければ分かる話なんですが、要は"久しぶりに出会う"というような意味。現代風な言い方をしてしまえば、極々日常的な言葉ではありますが、こんな言葉に置き換えるとなんとも雅な感じに。いやいや、日本語って素敵・・・って、烏丸が言っても含蓄が無いんですけれども。
そんな「久闊を叙す」出来事が茶飯事に在る場所がジャンク屋。(どーよこの自分ワールドへの強引な展開は?) つい先日も記憶の彼方に追いやられて且つ、その記憶領域さえも老化現象に伴ってあわや消去されそうになっていたブツと図らずも邂逅。
それがこのジョイスティックなんですな。
PCエンジン用のジョイスティック、DAITO Co.Ltd製「DAITO JOYSTICK 307」であります。
って、このメーカー名、聞いたことが無い方が大半だと思われるんですが・・・何しろ烏丸も20年近く前に一度見たっきりなんで正直、知らないんですけれども。 PCエンジンが現役のころ、町田のゲーム店で見た記憶があるんですな。まぁその店は随分昔に閉店しちゃってるんですけど。
あのころはPCエンジンに限らず、ファミコンからメガドラくらいまでの世代のコンシューマゲーム機って、ゲーム自体もそーですが、出自のよく分からないサードパーティ製周辺機器も出ては消え出ては消えしてまして。このDAITO社(この名前からすると当時有限会社でしょうか?)のジョイスティックもそのひとつ、と。
この手の周辺機器、今となっては秋葉のようなメジャーな場所でもトンとお目にかかることは無く、烏丸が入手したように郊外のジャンク屋っていうかガラクタ屋やらヤフオクなんかにぽつねんと文字通り落ちていたりするので気をつけないといけません。(←なにが)
と言うのもコンシューマハード本体ほどではないにしろ、群雄割拠著しい周辺機器業界において、再販性ってのは期待できないもんですからねぇ。いや期待されるほど優れた製品が名もないメーカーより出なかったってのもありますが。(そーいう点でHORIという会社は偉大なんですな)
さておき、実は当時烏丸、この製品を見て最初に抱いた印象ってのが「なんだかアレに似ているな」
そのアレってのがこれ。(指示代名詞ばっかりだ)
当時のジョイスティックベンダーとしては最大手のアスキーより発売されていた、「アスキースティック」
上記の画像はそれのPCエンジン用のモノで、言ってしまえば本日のお題であるDaito社のジョイスティックと完全に競合製品。似ている、という当時の印象を裏付ける意味も込めて、今現物同士を手元で比較してみますと・・・って、まぁ画像を見ながらご一緒に。
左側がDAITO社製、右がアスキー製。
まぁまぁ、人間の記憶なんて不確かなもんで、設置サイズこそほぼ同じであるものの、高さやら天板の角度なんかは大分異なる感じ。
なんですが、異常なほど一致してるのがこの天板上に配置されているスイッチ類のレイアウト。レバーはともかく、1ボタン・2ボタンの整列角度、SELECT・RUNのボタン配置、SLOWの切り替えと連射については「ほぼ」同じ配置。
両者ともに無段階に設定できる連射スイッチ。キャプションまで一緒。(アスキースティックの方は最小値と最大値の位置がDaito社のそれと異なりますが)
Daito社はトグル型、アスキースティックは押しボタン式、のスロースイッチ。両者ともRUNボタン連打のOn/Offとゆー機能は一緒。SELECTとRUNに至っては楕円形とゆーカタチまでソックリ。
ボタンの色はともかく、前述しましたとおり角度がそっくりなトリガーボタン。しかもその周囲から右上にかけて彫られたエンボス処理も、深さこそ違えどそっくりなデザイン。あ、ちなみに両方ともアーケードっぽいスイッチではなく、ゴム接点の廉価なボタンです。押し心地は・・・いいですかね、別にw
今度は質感。
アスキースティックの天板はプラスチックでザラリとした、いわゆる梨地。これはファミコン用の廉価版アスキースティックターボJrと同じですな。いい感じに低コスト感が立ち昇ってます。
逆にDAITOの天板の処理は材質こそ同じプラスチックですが、表面ツルツル・・・あれれ? この感じ・・・どっかでみたことあるなぁ、って思ったら
最後にレバー。周辺部のエンボス処理はアスキーには有り、DAITOには無し。で横から見ると・・・
アスキーは廉価レバー丸出しの段つきスティック。
ご存知の方も多いと思いますが、この形状のレバーはスイッチがゴム。つまりアーケードのようないわゆる「カチカチ」言うタイプじゃないんですな。なので通はマズ、選ばないとゆー。
対してDAITOのそれは一般的なレバー。軸の部分も金属製。おお。なんかこの点はDAITOのほうがイイじゃん?
って、思うでしょ?
ところがだ。
画像では分かりにくいですが、DAITO社のほうもゴム接点! つまりグンニャリレバー! 金属製レバーを採用していながらも接点はゴム・・・販売当時はパッケージに騙されて購入した方もおられそうな予感。
まぁ実際に悪意があってやったことではないと烏丸、思うんですけれども。それにしても、ねぇ?
ってなワケで比較の結果見えてきたのは、
「アスキースティック2ターボ」+「アスキースティック・エンジン」
つまり単純なコピーではなく、両者をベースに作り上げられたDAITO社オリジナル製品(って言っていいのかどーか)ってコトでしょうか。といってもアスキースティックのそれを改良したというワケではなく、デザイン面で模倣しつつ、レバー部分で改良していると見せかけて実はどっこいどっこいとゆー・・・うーん、貴重だ。なんか、貴重な存在だ。
ここまで結論っぽくまとめてしまいましたが、実際はこのDAITO社製ジョイスティックの発売時期が全く不明。アスキースティックの方は本家アスキーのサイトでこそ既に掲載されていないものの、所有者はかなり多く、ネットでも情報を容易に入手できるんですな。ところがこのDAITO社に至っては、「DAITO Co.Ltd」、前述しましたがおそらくは有限会社であること以外は重ね重ね不明。せっかく「久闊を叙す」コトができたのにコレではなんとも消化不良。烏丸の大して美しくも無い思い出が美化未遂。
仕方ないので例によってネットで検索してみたところ・・・検索結果上位に可能性がありそうなのが数社。
・株式会社DAITO
・株式会社ダイト
・大東通信機株式会社
・株式会社大都技研
なんともまぁ似た名前の企業の多いことよ。
1番目の株式会社DAITOは焼却炉の会社。ゲーム関連の周辺機器を開発しつつも現在は焼却炉業界に華麗に転身?
2番目はソニー関連の製品全般を扱っている会社。親会社が株式会社ダイトエレクトロンという電子機器一般を部材から取り扱っている点・・・ここ?
3番目も同じく電子機器系企業。やはりジョイスティックってのはハードウェアですからな。2番目と同じく重要な候補。
4番目。正直烏丸としましては本命と目していたパチスロ大手の大都技研。ゲーム会社がパチスロ業界に、ってのは最近ですとサミー工業(現セガサミー)、懐かしいところでは「Mr.Do!」のユニバーサル(現アルゼ)が有名。
ってことは大都技研がコンシューマゲーム業界で暗躍(いやいや)していた時期があるのでは? と推測するのが当然、と。烏丸、冴えてるゥ。
で、4番目の大都技研様にメールしてみました。そしたらなんと丁寧な返信メールを拝領。以下は返信していただいたメール。
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烏丸 様
お問い合わせありがとうございます。大都技研ユーザーサポートです。
貴殿よりお問い合わせをいただきました内容につきまして回答させていただきます。
弊社におきましては、コンシューマーゲーム機の周辺機器の製造、販売実績は一切ございません。
何卒、ご了承いただけますようお願いいたします。
今後とも弊社製品をご愛顧いただけますようお願い申し上げます。
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・・・隠すとためにならんぞ、と思いながらも嘘をつく理由も当然無いわけで。うーん、違うのかニャー。ってことは・・・
正解は1番の焼却炉?
デザイン ★★☆☆☆ 意外性のあるレバー、それが存在意義
操作性 ★★☆☆☆ レバーの細さはプラスに働いてそうな希ガス
参考URL ここに答えがあるのかしら
備考 "307"ってのはいったい?
ファミコン以前、おもちゃ業界はテレビゲームという新たな市場を得ることが出来たワケで、必然的に新規参入する会社も多かったですな。その中から成長することが出来た会社もあれば、無論淘汰された会社もあったはずです。
この「DAITO Co.Ltd」が、今どちら側に属しているのか・・・非常に気になっちゃう烏丸なのでした。