【レビュー】Microsoft SideWinder FreeStylePro
2006年 11月 12日
サァサァサァ。いよいよPS3の発売となりました(いやこのドキュメントを書いている時点では発売されませんが)。どーなんですかね実際のところ。やっぱり初日から発熱やら騒音やらでウンザリしたり、初期不良をバッチリ掴まされてソニーの企業力を思い知らされたり、購入した帰り道に強盗に襲われたりして帰宅して「野良犬に噛まれたんや」なんて泣きながらシャワーを浴びたりしてる御仁も多いのかしらん?
そんな烏丸は予告どおり(?)購入見送りっつーか購入予定なし。
うーん、ソニー自体は嫌いじゃないんですが、どーもクタタンがねー。いや彼個人が気に食わないからってんじゃないんですけどねー、ゲーム機じゃない発言なんかがねー。
ってのもあるんですが。
正味の話、Wiiのような革新的なインターフェースを採用してくれなかったってトコロが購入見送りの決定打、でしょうか。いくらソニー自身がこれまでのゲーム機からの脱却を宣言していても、既存のインターフェースを踏襲しちゃってる時点で、烏丸的には単にスペックアップしただけにしか見えなかったり。ただでさえデュアルショックと同じ形状を採用しちゃって見栄えの変化が楽しめないのに、この上振動機能の削除なんて・・・。
まぁ中にはEyeToyを利用したカードゲームなんていう素敵プロダクトも予定されているよーですが、そちらにかなり本腰っつーか全ての操作をEyeToyで! ぐらいの狂った勢いがほしかった感じ・・・無線化&6軸傾き検知だけなんて・・・ねぇ? 無線化はともかく、傾き検知なんて今更感アリアリ・・・。
そんな傾き検知ですが、PCコントローラ業界ではワリと過去のテクノロジー。と、いっても数社しか採用していなかったんですけども。で、本日は傾き検知を採用してるコントローラでは恐らくポピュラーなブツ。「MicroSoft SideWinder FreeStylePro」であります。
ドスーン。
正直非常に評判の悪いコントローラであります。初代サイドワインダーがマクロ機能&見栄えのワリに使いやすいという人が多かった方向キーと相まって思いのほか好評だったせいか、事実上のメジャーアップデートだったコレの評価はもー・・・じゃあ順に。
なんかとっても野太いフォルム。外人サイズって言葉で片付けるのは簡単ですが、恐らく後述する傾き検知の際にしっかりホールドしないと上手にコントロールしづらいだろう、という気遣い。っぽいんですがそれにしても太すぎ。 とはいえ、表面がうっすらと梨地仕上げになっていて高級感が。うーん、マイクロソフトならではとゆーか・・・金持ちの余裕を感じさせられます。
設置場所を大きく確保されたLRも巨大。先に書いちゃいますがこのLR、タクトスイッチ採用で、マウスのクリックと同じ感触。USB版サタパのLRが気になるような御仁にはゲンナリでしょうが、この広い面積のどこを押しても同じ感触ってのはなかなかスゴい感じ。
さてフロント部。
取り立てて文句を言うべきところが無さそうな6ボタン。光沢のある材質はそこらの廉価コントローラのそれとは違って厚手のプラスチック。ボタンひとつとっても遮二無二低コストを追求してはいない、そんな雰囲気。
ボタンの押し心地もそう。上段と下段でストロークが異ならせることでエルゴライクになってるとゆー。
股間っていうか股ぐらというか・・・妙な場所についてるのがアクセルコントロール用のジョグスイッチ。傾き検知を除くとアナログはこの1点のみ。 グリップを両手でつかんだ状態で、親指でココをグリグリとすることでアナタの愛車が淫らに前後運動するとゆー仕組み。
で、この股間のソレはポジションなど存在しませんで、感触的には同社のナス型マウスのスクロールボタンにクリソツ。撫で心地も質感も。ひょっとしたらプロダクトイメージに統一感を出すためなのかもしれません。
方向キー周辺には傾き検知のON/OFFを切り替えるスイッチ、スタートボタン、同SideWinderシリーズのDualStrikeとStrategicCommanderにも採用されているシフトキーを実装。基本的に傾き検知の感度やらシフトキー、その他の設定も全て専用のユーティリティによる設定なのは例によって例のごとく。
方向キーは当たり前として、シフトキーもやはりこの配置なので左手の親指で操作するワケですが、前述の股間アナログも左手の親指で使用するワケで・・・うーん、股間アナログとシフトキーを同時に使用する場合は、アナログから手を離すか右手を股間に持ってくるかのいずれか、というコトなんでしょうか。はからずも低俗な表現になってしまいましたが。
で、これが方向キー。
このコントローラの悪評の原因。いわば諸悪の根源。
形状こそ初代SideWinderから踏襲されてはいますが・・・なんとも上下左右がしっくりこない・・・発売当初からこれについてはさんざん言われていましたが・・・何故に?
で、分解してみました。
方向キーの中を覗いて見ると、なんか妙な違和感。
よくご覧いただくとわかるんですが・・・分かります? スイッチに当たる炭素接点が当たる場所が、なんと斜め方向に配置されているとゆー。
上下左右の位置にはメンブレン。これでクリック感を出しているんですが、そのメンブレンの間に炭素接点が。つまり左斜め上・右斜め上・左斜め下・右斜め下。
例えば、方向キーのガイドに沿って真上を押した場合、内部的には左斜め上と右斜め上が同時に押されることで「上が押された」と認識しているんですな。感覚的に「真」上を押しても、実は斜め方向に瞬間的には入力されてしまうワケで・・・どーりで妙な操作感だと思ったら。
じゃあ斜め方向は得意なの? というとそれもチト怪しい。
ってのは、上下左右に配置されているメンブレンが適度にやわらかいせいか、方向キー中央裏にある足が短すぎて方向キーが大きく傾かないからか・・・はたまたそれ以外の理由なのか分かりかねるんですが、どーも方向が定まらない。なんかデジタル入力というよりアナログよりな動きと申しましょうか。ここをシッカリ作ってくれないと最終的な印象が悪くなるんですけども。
と、思ったらなんとソフトウェアの方でどーにかしようというコトでしょうか。アップデータが出てるんですな。(→アップデータ)
インストールしてみたところ、なるほどキモチ? まともになったような気がするんですが・・・んー、そもそもの作りがなぁ・・・
さて実際の傾き検知を利用した操作ですが・・・いや実際評価するのが難しい。いや実はこのコントローラ、付属のユーティリティがWindows95/98でしか動作しない。いや2000以降の環境でも使用はできるんですが、シフトキーなんかの特殊な機能ボタンがタダのボタンになっちゃうんですな。
だからタダの10ボタンアナログコントローラ扱い。
確かに傾ければ左上のX軸/Y軸がプルプルとアル中ライクに動きますし、方向キーはハットスイッチ扱いとはいえ普通に使えるんですが・・・キャリブレーションやらマクロを含め、マイクロソフトの意向通りに使い倒すには、環境をどうにか作らないといけないワケで。うーん、面倒。
とはいえ、話題のPS3で得意げに採用された傾き検知機能が、今日ソニーのライバルであるマイクロソフトから既に出ていたという事実。見てみれば案外大した機能ではないものの、なーんかソニーのモノ作りの技術力というか想像力が衰退しているような気が。先日のバッテリーの件といい、なんかソニーいよいよ? な気がする烏丸なのです。
デザイン ★★★★☆
操作性 ★★☆☆☆
備考 実は二個持ってたりして(実は結構好きなんですなコレ)
参考URL メーカーサイト
ハードウェア的な作りこみ、質感の高さ、方向キー以外の操作性については明らかに水準以上。なんですけどねぇ。まーこういう失敗作があって、今のXBOXのコントローラがあるってことなんでしょうけども。