【レビュー】BLAZE HyperPad 潜雷
2006年 12月 19日
PSPポータブルナビの出来栄えに少々テンションも上がり気味。こーなったら正月暴走も視野に入れちゃったりしつつも、ああ、まだ大掃除なんてイベントも残ってたなーなんて思い出して若干鬱。烏丸です。
年末っていうか12月、あと11月もそーなんですがどーにもコントローラのレビュー記事が停滞。まー環境の変化、みたいなモノに若干右往左往したりしていたせい、っつーのもあるんですが。2周年の節目を無事に迎えた、っていうのにこの体たらく。まぁ今後も無軌道に進めさせていただきたく。
で、今年最後になる、かどーかは微妙なんですが、とりあえず今回はコントローラネタで。
烏丸の世代はドンピシャで「ファミコン世代」 いや実際は(元)セガ信者だったので、ちとその世代分けには一家言あるところなんですけれども、まー一般的に言うところのその「世代」
なのでゲームのコントローラ、って言うと故・横井軍平氏設計による十字キーのやつ。

と言えばこれ。なのですが、初代PSの大ヒットによって、ゲームのコントローラの代名詞と言えばこっちの形状なんですかね、今のゲーム世代にとっては。

初見では、やはり十字キーの呪縛から逃れることが出来ないながらも、どーにかファミコンとの差別化(特許云々)とデザインのバランスをとった形がコレなのかなーなんて思いましたが。やっぱりこの分割している方向キーというのはいつまでたっても使いづらかったり・・・
なのでプレステの形状を模した、いわゆる「模倣品」がサードパーティから出ても、この分割十字キーをそのまま踏襲した形状があんまり出なかったのは、やはり今申し上げた「使いづらい」って意見が大勢だったってコトなのかもしれません。
じゃー、どー設計してたらこのプレステのコントローラが、ファミコンのコントローラよろしく「プレステ世代」のココロのコントローラとなれたのか? 本日はそんなご大層なお題目を立てつつ、そのお題目に似つかわしくない地味なコントローラ、ってんでコレ。

香港はBLAZE社の「HyperPad 潜雷」であります。
漢字の名前がいかにも大陸、な。しかしこれどーいう意味なんですかね・・・魚雷とか機雷とかのコトでしょーか。早くもイヤな予感がするのが面白いんですが、

もーなんか

あきれるほど

クリソツ。
正直金型レベルでコピー品な感じ。なんですがインターフェースはUSB。つまりPC用のコントローラ。ドライバレスでWindowsなら98からXPまで(恐らくはVistaもいけるでしょーが)動作。
って、プレステコントローラのコピーがプレステで動作しても、なんのありがたみも無いワケで。いやPCでもそのありがたみを享受できるかってーと甚だ疑問ですけども。(今日日、変換機も星の数ほどありますしねぇ)
さてボタン構成も当然純正品と同じ、デジタル方向キーと○×△□にLR×2とSELECT+START。「ほぼ」完全コピー品なので連射設定系のファンクションボタンは無し。うーん、ホントに存在意義が見当たらねー。
純正品と「ほぼ」同じ、ってコトで純正品と同じ不満点になるんですが、やっぱりどーも半端に小さい。アナログスティックが存在しない分、軽く作られているってのもありますが、なんとも持った感じの心もとなさとゆーか。しかし初代プレステの本体サイズとのバランスを考えると、あぁ適切なデザインバランスだったのカモ、とも思えるんではありますが。(しかしコピー品でそんなこと再評価するのはソニーに失礼か? いやソニーの中の人はこんなブログ見てないでしょーけども)
さてさて「ほぼ」なんて繰り返し申してますが、どこが「ほぼ」なのかという点。色が黒いから? ボタンのロゴが○×△□じゃないから? インターフェースがUSBだから?
いやいや実はここ。

実はこの作り。なんと上下左右が全て別部品。プレステ発表時に誰もが抱いた予想(抱きました?)を体現しちゃってくれている、と。

なので上を押せば上だけが、下を押せば下だけが物理的に凹むとゆー。
蛇足ですが純正品は上下左右ともにひとつの部品。

露出している部分こそ分割しているものの、中はつながっている、と。なので1方向を押すと全体的に押された方向に傾くんですな。

これこの通り。
今更ですが、純正品のこの感触の悪さは、ストロークの浅さが原因な気がしてきました烏丸。もータダでさえ隙間だらけなんだから、押し込むと本体の地肌にすぐ触っちゃう。これが気に食わないポイントなのカモ。
話は戻りまして贋物、いやさ潜雷の方。
上下左右が別部品、つまりそれぞれを単品で押下しても他のボタンは凹まない、って作りなんですが、実際どーなの? ソニーも最初からこーしておけば良かったの? ってなると・・・なんか違う。
ソニーの純正品に限らず、一般的なコントローラの方向キーは、例えば「上」を押したときには同時に「下」が押せないんですな。つまりシーソーの仕組み。つまり片方が下がればもう片方が上がる。これが極自然な構造。この構造を利用したのが実はファミコンのコントローラ。

ファミコンのコントローラのSELECT・STARTはこの上下・左右の同時押しが出来ないことを利用して、SELECT・STARTを押すと内部的には上下・左右を同時押しした信号を発信してるんですな。ファミコンのコントローラの結線は方向キー・各ボタンの生信号を送信しているんですが、構造上、SELECT・START専用の結線がなされていないため、カラメ手で処理してる、と。(ほぼ同時期に販売されていたセガのハードなんかだとPAUSEボタンが本体側に実装されてましたな)
ところがプレステだとコントローラ内のチップで、どのボタンが押されただとか、どの組み合わせで押されただとかを処理しちゃってるんで、こーいう「アナクロな工夫」が不要。まぁ10ボタンくらいの多ボタンが当然の今日、そんなことをしないでも素で専用のボタンを実装すればいいだけですからねぇ。
って、なんだか話が逸れましたが、そんなシーソーの定理(?)が通用しないのがこの「潜雷」。 じゃあ実際に方向キーを全押しするとどーなるかっていいますと・・・

こう。
なんだかよくわかんねーんですが、何故か左下として認識。上下左右どの順番で押しても前押しすると左下として認識。 ???
これはPCのコントローラを語る上で、ワリと話題に上がりがちな方向キーの全押し問題に悪い意味でドンピシャ(他の全押し可能なPC用コントローラで同じ症状になるかは不明ですが)。ソニー純正の方がコレと同じように"本当に"分割した構造だとしたら、おそらくは芳しくない評判となったであろうということは、想像に難くないワケで。じゃあやっぱり完全に分割しても"ココロのコントローラ"にはなれなかったのねー。
じゃあもうひとつの方法。
上下左右を分割すると上記の通り"全押し"問題がでちゃう。じゃあその間を取って、上下・左右の単位で分割するってのは?

そのアイデアを採用したのがこれ。大昔に【レビュー】エントリしましたアスキーのバイオハザード専用コントローラ、の方向キー。他のボタン群の配列がバイオ用にカスタマイズされちゃってるばっかりに汎用性に欠けるものの、上下と左右が別部品となっているお陰で、前述の"シーソーの仕組み"についてはクリア。あわせて全押し問題もクリア。

これこの通り。いい感じに上下パーツのみが傾斜。うーん、ひょっとしたらコレこそがソニーに採用してもらいたかった仕組みだった希ガス。
実は任天堂の十字キーに関する特許は失効しているので、実際には採用の垣根は相当低い。はずなんですが、ソニーがプレステを発売した当時はまだ有効・・・だったのでこの分割十字キーとなったんでしょうかね。分割デザイン自体は秀逸な印象なのですが、もー一押し。して欲しかったってのが烏丸の感想であります。あー、なんか潜雷の話じゃなくなってますな。うーん、無軌道。
正直、デジタル入力一択だとしてもこれ以外に"まとも"なコントローラは幾らでも(?)あるはずなので。
烏丸? 烏丸は他のものを買うついでに買っただけなんで、思い入れとかあんまり・・・
デザイン ★☆☆☆☆ もしこーだったら? という存在意義のみ
操作性 ★☆☆☆☆ ゞ
備考 もはや間違い探しですな
参考URL メーカーHP
今回の「潜雷」に関しては正直、PC用コントローラとしてデジタル一択で選ぶとしても、他にいくらでもまともなコントローラがあるハズで。(それを探すのが難しいんですけど) プレステの初代コントローラに特別な思い入れがある、もしくはあの分割十字キーが本当に分割していたら、という"IF"の先が気になる、そんなマイノリティな方々にしかオススメできない感じ。
さて本文中で引き合いに出すのを避けたのが「USB版サターンパッド」
どーもメーカーサイドの生産も終了してしまったようで、現在入手が徐々に困難になっている様子。とはいえ都内の量販店なんかではボチボチ見かけますんで、お探しの読者ちゃんは急げゴー。